サイコロ 石川メリヤスマガジンVolume4

画期的なニットシューズhitoeができるまで
サイコロNo.4 / November 2020
photo_Marugo Company Inc. text_Toyo Omiya

 
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どんな形の製品でも丸ごと立体的に自動で編み上げることができる、島精機製作所のホールガーメント横編機(SWG)。他社に先駆けてその小型機種を石川メリヤスが導入したのは2005年のことでした。
 
 SWGはニットの可能性を最大化できる世界最先端の編機です。しかし、導入後の数年は「すごいオモチャ」に過ぎませんでした。高品質の作業用手袋や五本指靴下の大量生産に強みを持つ工場として、この機械で何ができるのかをつかみ切れなかったからです。自社が得意とする技術を生かせて、なおかつお客様にとって最適な生産方法であること。そのベストマッチを探し続けて来ました。
 最近はベストマッチの案件が増えています。その代表例が丸五(岡山県倉敷市)のトレーニングシューズ「hitoe」。ホールガーメントの特徴である立体編みと、加熱によって糸内部の樹脂が溶け固まる熱融着糸の特性を生かして実現したニットシューズです。丸五の宇佐美彰規さんは、hitoeの特長は「いままでにないフィット感とホールド感」にあると説明します。
 
「他のニットシューズは、シート状のアッパーを裁断し、袋縫いで成形しています。そのため縫製部分に角ができ、靴の中にスペースができてしまいます。一方のhitoeは編み上がり1枚をそのまま定型。靴の製法では画期的な方法であり、靴の中にスペースが生まれません。また、無縫製アッパー内で編み密度の濃淡をつけることで、甲部や踵部のホールド感を増しています」
 
 実は、石川メリヤスには5年ほど前にもSWGでの無縫製ニットシューズの開発に携わった経験があります。手袋や靴下など、袋状の製品の安定生産には自信があったのです。しかし、製品として世に出すまでには至りませんでした。社長の大宮裕美は、かつて失敗したからこそhitoeの生産に魅力を感じたと振り返ります。
 
「アッパーを型に入れて固めたり、ソールをつけたり。私たちには靴作りの肝となるノウハウがありません。hitoeは、地下足袋の老舗メーカーである丸五と島精機が組んで開発したものの生産を引き継ぎました。世に出る製品に携われるチャンスです。『hitoeは自分の子どものようだ』という宇佐美さんの熱意にも共感しました」
 協業するためには、お客様の熱量と一貫性が必要だというのは大宮の持論です。「何がやりたいのか」「どこをどのように改良したいのか」がわかると、石川メリヤスもそれに合わせて動くことができます。
 
「工場同士が協業する際は、お互いの工程を見ることが大切だと改めて感じています。例えば、丸五さんの後工程を見ることで、ぴったり合ったアッパーを作るためにはラスト(木型)を借りることが必須だと知りました」
 一方の宇佐美さんは「協業においてはコンセプトの共有が最重要」と説き、何度も石川メリヤスを訪れています。SWG、各工場の特長、そしてモノづくりへの情熱。3者の組み合わせがニットの可能性を広げていくのです。
 
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足が持つ力を最大に引き出す足袋型トレーニングシューズ「hitoe」
ホールガーメント横編機で立体的な袋状に編むことで無縫製アッパーを実現。丸五と島精機製作所が開発し、石川メリヤスは生産段階から参加した。

 
 
上記の他にも「ニットのブリーツマスク」「ラブヒール グレーが新しくなりました」など掲載しております。
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