サイコロ 石川メリヤスマガジンVolume6

初めての単独出展で改めて気づいたこと
サイコロNo.6 / December 2021
text_Toyo Omiya

magazine006-photo101
 
使う人のためのモノづくり。2021年10月18日から20日に開催された「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」に出展し、65年前の創業時から変わらない石川メリヤスの存在理由に改めて気づくことができました。
 
石川メリヤスのブースを訪れてくれた方は3日間で234人。半数ほどの方とは名刺交換をして会話をしました。
 
印象的だったのは、業種や規模を問わず決定権や目的意識を持った方が多かったこと。求めている商品が明確で、「軍手の指先を取ることができるか」「アウトドア用にアレンジしたい」といった具体的な要望があるのです。そのうち20社ほどと展示会後もやり取りさせていただいています。
 
展示したのは石川メリヤスの定番商品であるサイコロ印作業用手袋です。創業当時からの職人向け定番商品ですが、昨夏からはデザインに工夫を加えて一般向けにも販売しています。
 
一般の方に届けるには販路を変えなければなりません。そのためにはユーザーに近いところにいる小売店の方々とのざっくばらんな対話が不可欠。こうした意図をくみ取ってディスプレイの設計から施工までを担ってくれたのがT HOUSE(京都市)です。
 
T HOUSEの名嘉太一朗さんと谷口孝さんは2回も石川メリヤスを訪問してくれました。今回の展示会を担当した石川絵梨および社長の大宮裕美と打ち合わせを重ねつつ、工場を「現調」(現場調査)。どんな仕事でも現調を大事にしていると谷口さんは説明します。
「メールやZoomだけでは、空気感や素材感を把握するのは難しいからです」
 
石川メリヤスの工場には、鉄工所などのプロ用に出荷するサイコロ印の俵(手袋120双をひとまとめにしたもの)が積まれています。谷口さんは「素朴で可愛らしい」と着目したそうです。
「ゴロッとした塊で、軍手のイメージを表現するには素敵な素材だと思いました。展示会場に置いたときに『何、これ?』と足を止めてもらうきっかけにもなり得ます」
 
ただし、T HOUSEの方針は奇抜でカッコいいディスプレイを作ることではありません。石川メリヤスの想いを立体的な形として具現化することです。名嘉さんは「使う人に長く寄り添うモノづくり」だと感じ取ったようです。
 
「サイコロ印を単なる作業用の商品としてではなく、愛情を持って伝えられるよう意識しました」
 
実際にディスプレイを作る際は、商品を魅力的にわかりやすく見せることを一番大事にしているそうです。サイコロ印は7種類もあるため、その素材や用途の違いを示す必要があります。手に取りやすさや説明文の読みやすさを重視した結果としてこのたびのディスプレイが完成しました。
 
石川メリヤスは単一商品の大量生産には向いていません。むしろ、「こういうニット製品が絶対に欲しい」というニッチで熱い需要には200双単位の小ロットでも柔軟に応えてきた工場です。T HOUSEの力を借りて実現した今回の展示会。「使う人のために」という想いを深めています。
 
 
magazine006-photo001
愛知県西三河地方のリサイクル繊維の歴史を踏まえた石川メリヤスのブース
「サイコロ印」作業用手袋は西三河地方のリサイクル繊維産業に支えられている。その歴史と仕組みを文章で紹介した。「壁の色は白が無難ですが、それでは僕たちに依頼してもらった意味がありません。軍手のナチュラル感を引き立たせつつ、たくさんの出展者の中で埋没しない配色を考えました」(谷口さん)
 
 
上記の他にも「新商品 車内拭き手袋/ホイール磨き手袋」など掲載しております。
下記をクリックして「サイコロ Volume6」をご覧ください

240photo-magazine106
(別ウインドウが開きます PDFファイル)
 
 
 


◆ サイコロ 石川メリヤスマガジン

石川メリヤスマガジン「サイコロ 」

・Volume9 240photo-magazine107

Volume8
Volume7
Volume6
Volume5
Volume4
Volume3
Volume2
Volume1
ページ上部へ戻る