サイコロ 石川メリヤスマガジンVolume3

手袋作って50年。先代社長が語る
サイコロNo.3 / June 2020
photo_Osamu Watanabe, Kenji Tohata text & photo_Toyo Omiya

 
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 小さな自動販売機のような機械から数分おきに手袋が編まれて落ちてくる――。
 石川メリヤスの工場を見学したお客様が「うわー」と歓声を上げて興味を示してくれる瞬間です。
 作業用手袋は、1957年に創業して以来の主力商品です。
創業当時は手動式軍手編機5台だけで製造していました。
現在は、最新のホールガーメント横編み機も含めた全150台の編機を所有しています。
その大半が常に稼働して、糸から自動的に製品を作っていく光景は壮観です。
 ただし、すべての機械で手袋を作っているわけではありません。
作業用手袋の製造に主に使うのは7機種88台。
先代社長の石川君夫がその理由を解説します。
「新しい機械でも軍手(作業用手袋)を編めないことはありません。
 でも、強度のある糸を使うと針などが壊れやすい。
 軍手は昔ながらの丈夫な機械でゆっくり編むほうがいいのです」
 
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中学生時代から家業を手伝ってきた石川君夫。「繊維業界は人を育てるのに時間がかかります」
 
 
 石川は作業用手袋の製造に携わって50年の大ベテランで、今でも毎日工場で機械を扱っています。
「なかなか引退できない」と笑顔でぼやくのは、繊維の現場仕事は経験に基づいた知識が問われるからです。
「糸の性質を知ることが特に大事で、かつ難しい。
ループになった糸、ストレッチ素材の糸など、特殊なものは編立が難しいので気を遣います。
強度がある糸を使うときは手を巻き込まれるとケガをしやすい。普通は糸のほうが切れるのですが、強い糸だと手のほうを切ってしまいかねません」
 ニットは伸び縮みが大きいので、朝晩の気温差でも寸法が変わってしまいます。
何度も失敗をして試行錯誤と創意工夫をしながら、「この性質の糸はこの機械でこのように編み立てればうまくいく」ことを一つひとつ覚えていくのです。
 糸を知ることの難しさに比べると、機械は簡単だと石川は指摘。
糸に比べると種類が少ないため、毎日扱っているうちに操作とトラブル対応を習得できるそうです。
「うちのように台数が多いと、常にどこかの機械が故障する。
 何度も同じようなトラブルを見ていれば、どこをどう直せばいいのかすぐにわかるようになります」
 様々なニット小物の生産が可能になるように、機種を幅広く備えているのが石川メリヤスの特徴です。
技術の蓄積もあるため、新しいアイデアを商品化するのに適した工場とも言えます。
例えば、作業用手袋の指先にデコボコ加工をつけた犬の歯磨き手袋などです。
「設備も経験もあるので、よその工場ではできないような商品を頼まれることが多いですね。まあ、言われたら何でもできますよ」
 自信たっぷりに語る石川。
実際は、チェーンソーの震動を吸収する作業用手袋など、商品化には至っていない試みもあります。
ただし、石川メリヤスはあきらめていません。
ニット小物、特に作業用手袋に関しては「何でもできる」工場を目指して、これからも技術力を磨き続けます。
 
 
上記の他にも「作業用手袋が出来るまで」「作業用手袋 サイコロ印 一般販売開始」など掲載しております。
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