サイコロ 石川メリヤスマガジンVolume7

社員全員が商品を企画販売もできる「試作室」
サイコロNo.7 / August 2022
photo_Kenji Tohata,ishikawameriyasu text_Toyo Omiya

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多品種小ロットのOEM生産と先代社長が開発したヒット商品「ラブヒール」によって石川メリヤスは安定経営を続けられてきました。しかし、人口減少やコロナ禍、原材料価格の高騰などで今後は「現状維持」すらできないことが明らかになっています。
 
同じことをやっていたら私たちはじり貧だ、みんなが欲しいと思えるようなものを作り上げて販売してみたい、という機運が数年前から社内で高まっています。それを形にしたのが「メリヤス工場の試作室」。石川メリヤスのオンラインショップ上の商品カテゴリーです。
 
オリジナルの商品を企画開発するためには多大な労力と時間、費用がかかります。パッケージを考案し、販路も確保せねばなりません。一方で、「試作室」商品のパッケージはほぼ共通のシンプルなもの。自社内のオンラインショップで「ちょっと売ってみようか」とチャレンジすることができます。
 
商品を自ら考えて生産して販売する姿勢を会社全体に根付かせるため、昨年は社員全員がオリジナルの手袋を1つずつ考案して制作するという研修を2日間に渡って実施しました。特に優れていた「車内拭き手袋」と「ホイール磨き手袋」を商品化。メディアにも大きく取り上げていただき、カー用品店からの注文を受けることもできました。現在もオンラインショップで好評販売中です。
 
商品のアイディアは1人1つとは限りません。今年は企画書の応募箱を設置し、1人で何枚でも入れて良いことにしました。リーダー会議で選考を行い、実現可能そうな企画を社内に掲示。その制作に参加したい人を募り、チーム制で研修を行いました。今年もユニークな商品をネット販売できそうです。
 
この試作室は社員全員が参加できる商品開発と販売の場ですが、もう1つの役割があります。倉庫で長く保管している残糸(デッドストック)の有効活用です。例えば、アパレルメーカーからのOEMで使った防寒用手袋の残糸で、レッグウォーマーやスヌードを開発しました。冬の定番商品になりつつあります。2020年のヒット商品となったニットマスクも最初は残糸を利用して生産しました。
 
試作とテスト販売を繰り返すうちに見えてきたこともあります。それは、作業用手袋の生産を祖業とする私たちは「ファッション性」よりも「機能性」の追求が得意なことです。結果として独自のデザインになりますが、流行や見た目だけを重視はしません。
 
例えば、息の吸いやすさと肌触りの良さを目指して開発した「ニットのプリーツマスク」。生地に凹凸が出る編み方を採用したことで期せずして美しい曲線が生まれ、取引先のデザイナーさんから「機能美ですね」と言っていただき、石川メリヤスらしいモノづくりとは何かを考えるきっかけとなりました。
 
「メリヤス工場の試作室」は取引先との協業のきっかけとなる場でもあります。「この商品を少しアレンジして別注生産をしたい」「うちにも残糸があるので一緒に新しい商品を作れないか」といったお問い合わせをいつでもお待ちしています。
 
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商品企画シートと実際に試作した商品例
鍋つかみ、日焼け対策手袋、コースターなど、「使い手目線」のニット小物を社員全員が発案。商品化を目指している。
 
 
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